お集まりの皆さんありがとうございます。
コトパンジャンの住民を代表して皆さんにお伝えしたいことは、先ほどの判決を聞いて大変残念に思っている、ということです。判決では、日本や関係する企業の責任は全くない、インドネシア国内の問題であるとしています。私は、これは全く間違っていると考えます。それは、全てのこと、すなわちODA供与・コンサルタント・工事など全てのことに日本政府・関係企業が関わっているからです。私たちインドネシアにおいては、ただダム建設の場所を用意しただけ、ただそれを見ていただけ、という構図になっています。
判決を聞いてとても驚きました。裁判官はあの席に座っていていいのか、法律のことが何もわかっていないのではないか、だからあのような不適切な判決が出されるのではないかと感じます。裁判官に対して政府や関係者から何らかの介入がもしあったとしたら、それはよくないことです。仮にそういうことがあれば、縁故主義・汚職が起こっているともいえます。
2006年に日本の国会議員6名がダムサイトを視察しました。そうであるにも拘わらずこのような判決が出たことは大変遺憾に思っています。(注:実際は5名の議員)
タンジュンアライ村の移転先の家屋の屋根にアスベストが使用されていることも議員は視察されました。アスベストの屋根をつたう雨水を飲料水・生活水にしている住民もいます。これが原因で亡くなったと思われる住民が、私の知っているだけで3人います。
ダムそのものも議員の皆さんは視察されました。発電所には3つのタービンがありますが、現在動いているのはそのうちの1つにすぎません。現在1つは全く機能しない、もう1つは大きな問題を抱えているようで動かすことができないのです。
先ほどの判決は残念ながら私たちの訴えは棄却されましたが、代理人には上告したいということを話しました。次がどのようなプロセスになろうとも、私たちは、日本政府や関係機関を訴えることをやめません。
私たちの訴えは退けられました。これまで私は日本という国はとても進んだ国だと考えていました。隣人・隣国に対して良いことをする国であると思っていました。しかし先ほどの判決を受け、大変恥ずかしい国であると思うようになりました。
日本は政治や法律に透明性が確保されていて、日本国民や日本の国は、隣の国に思いやりを持っていると思っていましたが、大変恥ずかしい国です。
現地住民の生活は非常に厳しく、貧困に追いやられています。しかし日本は、相手の国のこと、住民のことを全く考えていないことがまざまざとわかりました。
WALHIは環境保護団体として、現地の環境がどれだけ被害を受けているのか、調査して報告書を提出しています。ダム建設によって、豊かな森林を伐採・開墾しなくてはなりません。貨幣として換算できないほどの資産である森林を破壊し、住民の住宅地・農地のためにも森林を切り開かなくてはなりません。このような資産が一瞬にして奪われてしまいました。
私たちは、開発事業によって森林や動植物など環境がどのような影響を受けるか必ず考察しなくてはならないと考えています。開発事業がコトパンジャンのような状況を生じさせてしまっているのであれば、その開発事業はすぐさまとりやめなければなりません。
これからも行われるであろう、インドネシアに対する投資・援助によって、住民が被害にあう、環境が破壊されることは、二度と繰り返してはならないと考えます。
〒162-0814
東京都新宿区新小川町6-38 大曲マンション201
www.kotopanjang.jp
ボランティアスタッフ募集中です。お気軽にご連絡ください。
Last Update : 2023/1/15
Since : 2002/8/3
日本で初めてのODAを問う裁判
日本のODA(政府開発援助)によるコトパンジャン・ダム建設で、インドネシア・スマトラ島では23,000人がふるさとを強制的に奪われました。5,396人の現地住民が原状復帰と補償を求め、日本政府・JICA(国際協力機構)・東電設計(=東京電力グループ)を被告として、裁判中です。
日本政府はODAの基本理念を「開かれた国益の増進」としています。「援助」とは名ばかりです。「国益」=グローバル大企業の利益のために、地元住民を犠牲にした「海外版ムダな公共事業」を行い、さらには原発までODAを利用して輸出しようとしているのです。
「国益」のための「援助」、住民泣かせの「援助」はやめさせましょう。ぜひ、裁判にご支援お願いします。
(ダムの呼称について)
インドネシア・スマトラ島の住民・自治体・マスコミは『コトパンジャン(Kotopanjang)』と言います。
一方、日本政府・インドネシア政府は本件ダムを『コタパンジャン(Kotapanjang)』としています。
Kotoは地元ミナンカバウ語、Kotaはジャワ語でいずれも「町」を意味します。現地の言葉・文化を尊重する立場から、私達は『コトパンジャン・ダム』としています。