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Last Update : 2023/1/15
Since : 2002/8/3
日本で初めてのODAを問う裁判
日本のODA(政府開発援助)によるコトパンジャン・ダム建設で、インドネシア・スマトラ島では23,000人がふるさとを強制的に奪われました。8,396人の現地住民が原状復帰と補償を求め、日本政府・JICA(国際協力機構)・東電設計(=東京電力グループ)を被告として、裁判を行いました。
日本政府はODAの基本理念を「開かれた国益の増進」としています。「援助」とは名ばかりです。「国益」=グローバル大企業の利益のために、地元住民を犠牲にした「海外版ムダな公共事業」を行い、さらには原発までODAを利用して輸出しようとしているのです。
「国益」のための「援助」、住民泣かせの「援助」はやめさせましょう。
(ダムの呼称について)
インドネシア・スマトラ島の住民・自治体・マスコミは『コトパンジャン(Kotopanjang)』と言います。
一方、日本政府・インドネシア政府は本件ダムを『コタパンジャン(Kotapanjang)』としています。
Kotoは地元ミナンカバウ語、Kotaはジャワ語でいずれも「町」を意味します。現地の言葉・文化を尊重する立場から、私達は『コトパンジャン・ダム』としています。
司法以外の方法でも闘いの強化へ
まず、5月2日午前10時半からジャカルタのWALHI全国委員会事務所で、アベトネゴ執行委員長、エド広報部長と会談しました。冒頭、浅野弁護士は裁判闘争の成果として、@日本とインドネシアでの連帯した運動が作られたこと、AODAの問題を国内外に発信できたことを強調しました。これに対し、アベトネゴ委員長は「日本の司法はインドネシアと比べて進んでいるとの幻想があった。そのため、裁判所に積極的な圧力をかける努力が足りなかった。しかし失敗ではない。今後も各地でダム建設の計画が有り、巨大なインフラ建設が目白押しの中、この裁判は重要な意義がある。資料として残していくとともに、継続した運動が必要だ。日本の判決を受け止め、WALHIとして人権委員会への働きかけや行政への圧力形成など、司法以外の方法でも闘いを強化しつつある。」と力強く応じてくれました。
11か村への説明会を実行
各村の「闘争協議会」役員への説明には、WALHI西スマトラのディレクターと弁護士2人が同行してくれました。そして5月3日夜の西スマトラ州タンジュン・パウ村とタンジュン・バリット村への説明会から活動が開始されました。
5月4日にはリアウ州6か村(ムアラ・タクス、コト・トゥオ、ポンカイ・バル、グヌン・ブンス、タンジュン、ラナ・スンカイ)の合同説明会とバトゥ・ブルスラット村での説明を実施しました。最後は5月5日にコト・ムスジッド村とタンジュン・アライ村への説明を行いました。 これら11か村への説明会では、当然ながら最高裁決定により日本での法的な争いが終結することへの強い怒りが表明されました。しかし、議論の中心は今後どう闘っていくのか、そして「支援する会」と「闘争協議会」との関係はどうなっていくのかということでした。役員たちからの共通した要請は「今後とも一緒に闘って欲しい」ということです。
臨時大会を準備する闘争協議会
「支援する会」としては、「15年にわたる裁判闘争を通じて築き上げられた信頼関係は揺らぐことはないし、『闘争協議会』が闘い続ける限り連帯する。しかし、裁判の終結によりその支援方法は変化せざるを得ない。今後は昨年のプカンバル会議で形成された『支援ネットワーク』の一員として相応の役割を果たすつもりである」と意見表明しました。この様な討議の結果、「闘争協議会」は年末までに臨時大会を開催する方向で準備を進めることになり、会議に欠席もしくは不在で会えなかった4か村の役員へは、執行部が責任を持って説明を行うことを確認しました。
意見と要望
説明会を終え、5月6日午前中に同行してくれたWALHI西スマトラのスタッフ3人と意見交換会を開催しました。その中で、WALHIの弁護士から「住民と直接話し合うやり方は大変良いと思う。しかし、日本の裁判への期待がインドネシア政府に対する責任追及を弱めてきたことも事実であり、現在はいろんな感情が渦巻いている。住民を再組織し、村ごとに要求を一つの方向に統一する必要がある」、「インドネシアでは新たな証拠があれば、最高裁での再審が可能である。日本の判決を検討したいので地裁、高裁の判決文を翻訳して欲しい」という意見と要望が出されました。この翻訳の要望については、非常に困難ではあるが検討することを約束しました。
新たな段階へ
以上のように、今回の訪問により裁判に関する当事者への説明は完了し、コトパン闘争は新たな段階に入りました。「支援する会」は今後の連帯闘争の課題を整理し、年末の「闘争協議会」臨時大会に参加していきたいと思います。