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Last Update : 2023/1/15
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日本で初めてのODAを問う裁判
日本のODA(政府開発援助)によるコトパンジャン・ダム建設で、インドネシア・スマトラ島では23,000人がふるさとを強制的に奪われました。8,396人の現地住民が原状復帰と補償を求め、日本政府・JICA(国際協力機構)・東電設計(=東京電力グループ)を被告として、裁判を行いました。
日本政府はODAの基本理念を「開かれた国益の増進」としています。「援助」とは名ばかりです。「国益」=グローバル大企業の利益のために、地元住民を犠牲にした「海外版ムダな公共事業」を行い、さらには原発までODAを利用して輸出しようとしているのです。
「国益」のための「援助」、住民泣かせの「援助」はやめさせましょう。
(ダムの呼称について)
インドネシア・スマトラ島の住民・自治体・マスコミは『コトパンジャン(Kotopanjang)』と言います。
一方、日本政府・インドネシア政府は本件ダムを『コタパンジャン(Kotapanjang)』としています。
Kotoは地元ミナンカバウ語、Kotaはジャワ語でいずれも「町」を意味します。現地の言葉・文化を尊重する立場から、私達は『コトパンジャン・ダム』としています。
2015年3月4日、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、被害者住民(5921人)とインドネシア環境フォーラム(ワルヒ)に対して、申し立て不受 理と上告棄却の決定を行った。この決定により、ダム建設が引き起こした深刻な住民被害や環境破壊を認定せず、すべてはインドネシアの「内政上の問題」だと した東京高裁判決(2012年12月26日)が確定した。
私たち「支援する会」は、1992年8月に始まる強制移転から22年余、2002年9月の第一次提訴から12年余にわたる被害者たちの苦闘と、今なお進 行する世界自然遺産の破壊や希少動物の減少を考える時、国際的に恥ずべきこの最高裁決定を徹底的に糾弾する。そして、コトパン住民や現地支援団体と最高裁 決定への怒りを共有し、長期にわたる裁判闘争の過程で築き上げられた国際連帯の力により、反ODAの闘いを継続・強化・拡大することを宣言する。
ゆるぎない国際連帯の証は、上告受理申し立てを実現するために、短期間で集中された手数料カンパであった。また、継続する住民たちの生活改善闘争を支援 するため、昨年5月に結成されたインドネシア・日本をつなぐ「支援ネットワーク」が運動継続の基盤である。私たち「支援する会」は、この「ネットワーク」 の一員として、引き続き生活に困窮するコトパンジャンの若者たちの闘いを支援する。
同時に、被害をもたらした根本的な原因であるODAに対する闘いを推進する。昨年12月に結成された「戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション」 (略称:コアネット)は、コトパン闘争を出発点にして生み出された。この新たな運動体は、「国益」追求と原発輸出、軍事支援を振りかざす「開発協力大綱」 (2月10日閣議決定)路線に対する鋭い反対闘争を開始している。「支援する会」は「コアネット」と連携し、ODAの廃止を求める闘いを強化・拡大する。
以上の立場から、「支援する会」は不当決定を乗り越え、日本政府、JICAらに対する闘いを継続・強化することを表明する。
2015年3月20日
コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会
最高裁判所第二小法廷は、本年3月4日、コトパンジャン地域住民らによる上告受理申立て、インドネシア環境フォーラム(ワルヒ)による上告申立てに対 し、上告審として受理をしない決定及び上告棄却の決定を下した。この最高裁決定は、2012年12月26日付け東京高裁判決を追認し、コトパンジャン・ダ ム建設強行によって生じた住民の生活上、精神上、文化上、多大な環境破壊に目をつむり、ODAを供与することによってこれらの被害を生じさせた日本政府ら を免罪するものであり、不当極まりない。最高裁第二小法廷が追認した東京高裁判決の問題点は次の2点に要約できる。
第1に、住民らに生じた被害を何ら明らかにしなかった点である。しかし、コトパンジャン・ダム建設によって生じた被害は計り知れない。住民らは銃口を突 き付けられ、村を追われ、移転先に追い立てられた。移転先は劣悪極まりなく、日々の飲料水の確保すら困難な住民もいた。長年培ってきたミナンカバウ文化の 伝統は完全に破壊され、元の村での豊かな暮らしは二度と取り戻すことはできなくなった。コトパンジャン・ダムは建設されるべきではなかったのである。日本 の司法はこのような被害実態を一切無視した。被害実態の認定、それに対する救済こそ司法の基本的な役割であるが、最高裁第二小法廷はこれを放棄したのであ る。
第2に、ODA供与を巡って住民に生じた被害は全て被援助国の内政問題であるから、日本政府らは責任を負わないとした点である。しかし、コトパンジャ ン・ダムは日本のODA供与がなければ建設されなかったことは明らかであり、被害発生について日本政府らに責任があることは明らかである。東京高裁判決を 追認した最高裁第二小法廷は、これを看過するという決定的な誤りを犯した。
コトパンジャン・ダム訴訟弁護団はこのような最高裁決定を断じて許すことはできない。最高裁決定を弾劾し、住民ら及び支援する会とともに、今後とも日本政府らの責任を明らかにする取り組みを行っていく。
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