■ 100兆円のアジア原発市場
昨年11月、日本はベトナムから原発2基(第2期工事)を受注しました。ベトナムの原発は東南アジア初の原発です。総事業費は1兆円規模。受注したのは東京電力・関西電力・中部電力・日立・東芝・三菱重工の共同出資会社です。アジアにおける原発市場は今後15年間で、100兆円にのぼるとされています。菅首相が「トップセールス」の成果として鼻高々で記者会見をしたのはつい数ヶ月前のことです。
ODAで原発が建設された事例はまだありませんが、ベトナム原発建設のフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)は日本の費用約20億円で行われることになりました。また原発とセットで港湾建設費790億円も供与されることにもなりました。今後、原発本体にもODAを使おうという狙いがあることは明らかです。ベトナムのニャン副首相は3月29日、「日本の原発事故を教訓として、安全に影響するあらゆるリスクを考慮して」予定通り原発建設を進めることを国会の場で明らかにしました。
■ ヨルダンへの原発輸出を国会で可決(3月31日)
原発ビジネスのために、政府・東京電力は福島原発を「守り抜く」ことが必要でした。そのために事故への対応が後手後手に回り、被曝被害を拡大させました。国民の命よりもまず原発を守ることが最優先だったのです。
さらにこの期に及んで3月31日、参議院は、中東・ヨルダンに原発を輸出するための「原子力平和利用協定」を民主・自民・公明・みんなの党の賛成多数で可決しました。「さらなる安全対策を固めていく中で世界の信頼を得られる道をつけたい。こうした形で未曾有宇の原発危機を克服したと世界に対して報告したい」(海江田経済産業相)は、どのような感覚なのでしょうか?原発利権のためには、日本だけでなく世界中の人たちの生命・安全を脅かすことなどおかまい無しなのです。
■ ODAを使った原発輸出
日本原子力協会は政府に対して「原発の受注活動にあたってのODAの活用を」とロビー活動を続けてきました。JICA(国際協力機構)は1985年から「原発セミナー」を開催し、海外から研修員を日本に受け入れ、原発の設計・建設・運用など「技術教育」をしています。25年以上前から原発ODAの下地づくりをしているのです。今年1月のセミナーには、インドネシア・フィリピン・タイ・マレーシア・チリから研修員を日本に招き、約1か月にわたり「専門技術の移転」を行っています。
■ 原発輸出にSTOPを!
日本〜東南アジアは地震・津波多発地帯です。2004年のインドネシア・スマトラ沖地震は今回の東北太平洋沖地震よりも巨大でした(マグニチュード9.1)。原発をただちに廃止、日本にもアジアにも原発を造らせてはなりません。
(2011年4月24日)
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日本で初めてのODAを問う裁判
日本のODA(政府開発援助)によるコトパンジャン・ダム建設で、インドネシア・スマトラ島では23,000人がふるさとを強制的に奪われました。5,396人の現地住民が原状復帰と補償を求め、日本政府・JICA(国際協力機構)・東電設計(=東京電力グループ)を被告として、裁判中です。
日本政府はODAの基本理念を「開かれた国益の増進」としています。「援助」とは名ばかりです。「国益」=グローバル大企業の利益のために、地元住民を犠牲にした「海外版ムダな公共事業」を行い、さらには原発までODAを利用して輸出しようとしているのです。
「国益」のための「援助」、住民泣かせの「援助」はやめさせましょう。ぜひ、裁判にご支援お願いします。
(ダムの呼称について)
インドネシア・スマトラ島の住民・自治体・マスコミは『コトパンジャン(Kotopanjang)』と言います。
一方、日本政府・インドネシア政府は本件ダムを『コタパンジャン(Kotapanjang)』としています。
Kotoは地元ミナンカバウ語、Kotaはジャワ語でいずれも「町」を意味します。現地の言葉・文化を尊重する立場から、私達は『コトパンジャン・ダム』としています。