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原発輸出はどうなっているのか

 福島原発事故の原因究明をせず原子力協定を承認

 昨年2011年12月9日にヨルダン、ベトナム、ロシア、韓国と結んだ原子力協定が国会で承認された。ヨルダンとベトナムには原発の輸出が想定されている。野田首相は「国際的な原子力安全の向上に資する」と原子力協定を結ぶ趣旨を語った。
 だが、政府は福島原発事故の原因を明らかにせず、その終息を急いでいる。安全性が失われたにもかかわらず、安全性を唱えて原発輸出に突き進もうとしていることに何が隠されているのだろうか。

 なぜ原発輸出を進めるのか

 国内での原発新設は非常に困難な状況にあり、それが続くと技術が廃れて原発も成立しなくなる。20年ほど受注が途絶えると技術の継承が困難になるといわれており、これを恐れた原子力産業など原発ムラに群がる勢力が巻き返しを図ったのである。
 2011年7月21日に菅首相(当時)が原発輸出の見直しを示唆したところ、翌日には日本経団連が批判した。その効果があったのか、8月5日には「日本の原子力技術に対する期待は引き続きいくつかの国から表明されている」との閣議決定が行われた。そして、野田首相は9月22日に国連で原発輸出推進を表明している。

 勢いづく原子力産業

 原子力協定の承認を受けて原子力産業は勢いづいている。設計認可を受けた東芝は、原発事業の売上高を2016年3月期に1兆円に拡大する目標を掲げた。三菱重工業も2017年3月期に売上高6000億円を目標としている。
 1月18日、東芝の佐々木社長は産経新聞のインタビューに次のように答えている。「(4カ国以外で期待される国は)一番は中国だ。中国では2基を受注、米国でも4基を契約している。1基の計画があるフィンランドは価格、条件が折り合うか次第。子会社のウェスチングハウス社の新型原子炉「AP1000」は、米国での採用に続き、英国、チェコでも有望」と。日立製作所もリトアニア原発建設で仮合意をしたことを発表している。

 反対の声は大きい

 1月14日と15日に開催された脱原発世界会議に参加したヨルダンのモオタシム・アワームレ下院議員は、下院議員の8割が原発輸入に反対している、と報告した。ベトナムの原発建設地域では地震の可能性が指摘されており、原発建設に伴う問題は何も解決されていない。同時に、原発輸出は「パッケージ型インフラ輸出」になることからODAが使われていくことを暴露していかなければならない。

(2012年2月7日)


コトパンジャン・ダム
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日本で初めてのODAを問う裁判

日本のODA(政府開発援助)によるコトパンジャン・ダム建設で、インドネシア・スマトラ島では23,000人がふるさとを強制的に奪われました。5,396人の現地住民が原状復帰と補償を求め、日本政府・JICA(国際協力機構)・東電設計(=東京電力グループ)を被告として、裁判中です。
 日本政府はODAの基本理念を「開かれた国益の増進」としています。「援助」とは名ばかりです。「国益」=グローバル大企業の利益のために、地元住民を犠牲にした「海外版ムダな公共事業」を行い、さらには原発までODAを利用して輸出しようとしているのです。
 「国益」のための「援助」、住民泣かせの「援助」はやめさせましょう。ぜひ、裁判にご支援お願いします。



(ダムの呼称について)

 インドネシア・スマトラ島の住民・自治体・マスコミは『コトパンジャン(Kotopanjang)』と言います。 
 一方、日本政府・インドネシア政府は本件ダムを『コタパンジャン(Kotapanjang)』としています。
 Kotoは地元ミナンカバウ語、Kotaはジャワ語でいずれも「町」を意味します。現地の言葉・文化を尊重する立場から、私達は『コトパンジャン・ダム』としています。