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ODAを使った武器(巡視船)輸出を阻止しよう!


▲ 朝日新聞DIGITALより
 8月19日朝日新聞朝刊は、「和製巡視船アジア熱望」との見出しで日本政府がベトナムなどへODAを使っての巡視船の導入を検討していることを報じました。私たちは、中国とアジア諸国との緊張を激化させる巡視船の輸出に反対するとともに、これにODAを使用することに断固として抗議します。

■インドネシアへ巡視船無償供与が最初(2006年)
 
 巡視船供与は、2006年6月にインドネシアへ、巡視船艇3隻の整備を目的とする「海賊・海上テロ及び兵器拡散の防止のための巡視船艇建造計画」のために、19億2,100万円を限度とする無償資金協力を行ったのが最初です。同年のODA白書では「マラッカ海峡は、年間9万隻以上の船舶が通航する国際的な海運の大動脈であり、日本に関わる船舶も世界で最も多い年間約1万4,000隻が通航し、日本に輸入される石油の約9割が通航する、日本にとっても極めて重要な海上交通路です。」としてマラッカ海峡を航行中の日本船籍の船舶が海賊に襲撃され、日本人が拉致された事件に端を発したことを説明しています。

■ODA白書にも「巡視船舶は軍用船舶に該当」

 しかし、同時に白書は、「日本から輸出されることとなる巡視船艇は、乗務員を保護するための防弾措置を施しているため、日本の輸出貿易管理令に規定される「軍用船舶」に該当し、武器輸出三原則等において憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、輸出を慎むとされている武器に当たります。このため、インドネシア側との間で、日本の支援により整備される巡視船艇が日本のODAの対象であり、テロ・海賊行為等の取締りや防止のみに使用され、それ以外の目的で使用されないことや同船艇を日本の事前の許可なしに第三者に移転されないことを確保する必要がありました。そのため、これらを日本とインドネシア間の合意に含めることにより、武器輸出三原則等の例外としました。」として巡視船は「武器」に該当するので使用を限定するとしてきたのです。

■フィリピンに十隻の供与を表明(安倍首相、2013/7/27)

 一方、フィリピンに対しては、安倍首相が今年7月27日、アキノ大統領とマニラで会談した際、「南シナ海で海洋進出の動きを活発化させる中国へのけん制として、フィリピン沿岸警備隊の能力向上を支援するため日本側から巡視船十隻の供与を表明」しました。なお、この10隻は40メートル級ですが、この他に100メートル級2隻を供与する協議も進められていると言われています。防弾装甲と武装が施された100メートルの巡視船とは、巨大な軍艦そのものです。この直前の7月22日、安部首相は「武器輸出三原則の抜本的な見直しの議論を始める」と発表しました。2011年12月に野田内閣による武器輸出三原則の緩和(国際共同開発・共同生産への参加と人道目的での装備品供与を解禁)があったとは言え、フィリピンへの巡視船供与は安部政権の本格的な武器輸出の公然たる表明と言わなければなりません。

■ベトナム軍にも(2013/5・日越海洋安保協議)

 また、ベトナムについては、5月の日越海洋安保協議において、日本側が「巡視船の供与先と目されるベトナムの海上警察は軍組織であり、日本のODA大綱は軍事組織への供与を禁じているため、海上警察を人民軍から切り離すことを含め、組織改編に関するベトナム側の意向を探る」などODA拠出のためになりふり構わない内政干渉を続けています。

■軍事目的のODAを中止させよう

 2003年の新ODA大綱においては、U.援助実施の原則で「(2) 軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する。(3)テロや大量破壊兵器の拡散を防止するなど国際平和と安定を維持・強化するとともに、(中略)開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払う。」と謳っています。軍事目的にODAを拠出してはならないことは当然です。

 援助の名の下に私たちの税金などを使って武器を輸出し、緊張を激化させ、戦争を誘発させることを許してはなりません。日比首脳会談の当日、フィリピンの「慰安婦」組織が大統領府近くで抗議デモを行い、「私たちが求めているのは正義、軍艦はいらない」と書かれたプラカードを高く掲げ、アキノ大統領に対して、第2次大戦中にフィリピン女性を強制連行して陵辱した日本軍の悪行を忘れず、彼女らが「明確な謝罪」と賠償などを求めていることを日本政府に伝えるよう求めました。このような平和を願うアジアの人々の声に応え、日本政府に巡視船供与を止めさせ、戦後補償を実現させましょう。戦争、侵略のためのODAを中止させましょう。

コトパンジャン・ダム
被害者住民を支援する会

〒162-0815
東京都新宿区筑土八幡町2-21-301
www.kotopan.jp,  info@kotopan.jp

 

ボランティアスタッフ募集中です。お気軽にご連絡ください。


Last Update : 2014/1/18
Since     : 2002/8/3 
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日本で初めてのODAを問う裁判

日本のODA(政府開発援助)によるコトパンジャン・ダム建設で、インドネシア・スマトラ島では23,000人がふるさとを強制的に奪われました。5,396人の現地住民が原状復帰と補償を求め、日本政府・JICA(国際協力機構)・東電設計(=東京電力グループ)を被告として、裁判中です。
 日本政府はODAの基本理念を「開かれた国益の増進」としています。「援助」とは名ばかりです。「国益」=グローバル大企業の利益のために、地元住民を犠牲にした「海外版ムダな公共事業」を行い、さらには原発までODAを利用して輸出しようとしているのです。
 「国益」のための「援助」、住民泣かせの「援助」はやめさせましょう。ぜひ、裁判にご支援お願いします。



(ダムの呼称について)

 インドネシア・スマトラ島の住民・自治体・マスコミは『コトパンジャン(Kotopanjang)』と言います。 
 一方、日本政府・インドネシア政府は本件ダムを『コタパンジャン(Kotapanjang)』としています。
 Kotoは地元ミナンカバウ語、Kotaはジャワ語でいずれも「町」を意味します。現地の言葉・文化を尊重する立場から、私達は『コトパンジャン・ダム』としています。